第7話 5ひきの仔豚と狼の食った・眠った・遊んだ(4回最終回)
ばぶさん童話 新シリーズ『5ひきの仔豚とオオカミ』集より
創作メモ ◆5ひきの仔豚と狼の名前と性格
長男ぶた……ブァ太郎・・・のんびり屋・気は優しい・まとめ役
二男ぶた……ブィ次郎・・・めざとい・アイデアマン
三男ぶた……ブゥ三郎・・・理屈っぽい・思慮深い
四男ぶた……ブェ四朗・・・ちょっとあまえんぼ・まけずぎらい
末妹ぶた……ブウ子・・・・しっかりもの、がんばりや
オオカミ……のうてんき、ばかちから、いつでもポジティブ、
「たからだよ。ほうせきのダイヤモンド」
ブァ太郎はそう言いながらしっかり握っていたてのひらを
狼の眼の前に突き出しました。
そしてその手をぱっと広げました。
ブァ太郎のてのひらの上でドングリが一粒コロンと転げました。
「これ、どんぐりじゃん」
「いいの、うそんこにダイヤモンドなの」
「ふ~~ん。まぁいいや。
それにしても何だかピリッとしてない『ドロケイ』だな。」
「どういうこと?」5匹の仔豚は狼の周りに集まってきました。
「つまりな、気迫と緊張感が足りないってぇの」
「なあにそれ?」
「泥棒と警察の戦いなんだろう。
だったらさ、ぜったい泥棒をつかまえてやるぞという警察と
ぜったい宝物を奪って見せるっていう泥棒の
気持ちが足りないってことさ
・・・よし、わかった。おいらもドロケイの仲間に入れてくれ」
「いいよ」
5ひきの仔豚はそろって元気に答えました。
そしてブァ太郎が
「それじゃあ、さっそくはじめよう」というと、
「ぼくらどろぼう」と5ひきの仔豚が
「おいらどろぼう」と狼が
同時にいいました。
「だめじゃん。どっちかが、どっちかにならないと
ドロケイあそびにならないよ」
「しょうがねぇなぁ。おいら、警察やっか」
「わーい。どろぼう どろぼう どろぼう」
5ひきの仔豚は飛び上がって喜びました。
狼が警察になると
狼は石の上に乗っかると大きな声で10数えて
「もー、いーい・かい」
「もー・いい・よ」
5ひきの仔豚は答えました。
♪じゃじゃ じゃ~~ん。
でーんで でんでん。で~んど・でぃど・でぃど。
で~んで でぃど・でぃ~~~ん。じゅわっち! ♪
狼はなんだかちんぷんかんぷんな鼻歌を歌いながら、
たちまち5匹の仔豚を捕まえてしまいました。
「でへぇ。第1回戦。おいらの 勝ち~~ぃ。」
「第2回戦。おいらの勝ち~~ぃい。」
「第3回せーん。はじめようぜぇ!」
「ちょっとまってよ。おおかみさん。」
「なんかずるいよ。」
「ずるかない。ずるかない。」
「だって・・・」
「『だって』…何だい?」
「だって、おおかみさんかけっこはやいんだもん。
だからぼくたちみーんな、すぐつかまっちゃうんだよ。
もっと、ゆっくりおいかけてよ」
「だめ、だめ、だーめ。
あそびは本気で真剣にやらないとつまらないの
なんでみんなしてひとかたまりになっておんなじ方に逃げるの?」
「だって、こわいんだもん。」
「こわかない、こわかない。
『俺達は世界一の大泥棒様よ』って思ってやらなくちゃ。」
そこで5ひきの仔豚は円陣を組んで作戦会議をしました。
「きーまった。」
というなり5ひきの仔豚は横一列に並んで歌い出しました。
結構見事なアカペラのコーラスでした。
♪ お・れ・たぁ~ちは デュヮ デュヮ
お・れ・たぁ~ちは デュヮ デュヮ~~ア
なく・こも・だまぁ~る なく・こも・だまぁ~る
せかーい いっちのどろぼうさまよ ボ・ボン・ボン・ボン
ブァブィブゥブェブウ―コ ブァブィブゥブェブウ―コ
ブァブィブゥブェブァブィブゥブェ・ブウ~~~コ オウ♪
「ぜったいかつぞ。えい・えい・おー。
だい3かいせんはじめ」
まるで見違えるようになった5ひきの仔豚。
あっというまに警察の守っている宝を奪って逃げました。
「わーい、わーい、たからをとったぞぉ。いぇい いぇい」
「しょうりのおどりだ。ほっほほっほほー。いぇいえい」
こんどは5ひきの仔豚たちが全員で思い思いに
へんてこりんなダンスを踊りまくりました。
喜びが大きいからでしょうか結構踊り方が様になっています。
それから5ひきの仔豚たちは嬉しくってハイタッチをしました。
第四回戦も仔豚たちの勝ちでした。
そのあと狼が泥棒になって仔豚たちが警察になりました。
それからまた仔豚が泥棒になって狼が警察になって
5ひきの仔豚と狼は暗くなるまで
遊んで 遊んで 遊びほうけました。
~第1巻 第7話 お・し・ま・い ~
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