12の短短童話  その6 「しゃしんとりますよ」

どんぽのばぶ

2014年06月17日 00:00

写真とりますよ>     
食事の支度も整いました。さあ、お昼ご飯の時間です。
「みなさーん。ごはんですよ。
おもちゃは片付きましたかーぁ?
では、食べに来てくださーい。」
まあ、今日はいったいどうしたというのでしょう。
あっという間におもちゃが全部片付いてみんな
「ごはんだ。ごはん」とテーブルに着きました。
こんな不思議な日もたまにはあるものです。
毎日ずうっとこうだといいんですけどねぇ。
「おしぼりで手を拭けた人はどうぞ、めしあがれ」
「いっただきまーす。」
あっくんも、えいちゃんも、うーたんも、いっちーも、
よっこちゃんもおおちゃんも、
そしてしいちゃんもみんなご飯を食べ始めました。
みんな好きなものからぱくぱくもぐもぐ食べています。
「おかわりちょうだい」
「おおちゃん、『もうおかわり?』・・・あらまぁ
おかずもご飯もお汁もぴかぴかのからっぽ。もっとゆっくり食べて」
あっくんも、うーたんも
「おかわりちょうだい」といいました。
「うーたんはお魚もう少し食べてください」
「あっくん、ちょっとまって、
いまお茶碗の中のごはん『あつまれあつまれ』してあげるね、
ぴかぴかになったらおかわりあげるよ」
そのときしーちゃんも「ごはん」といいました。
見るとお茶碗の中はみごとに空っぽのピカピカです。
けれども、お皿の中のおかずは全く減っていません。
「ごはん―」と泣き声で言いました。
でも涙は出ていません。
お味噌汁は…どうでしょう。
豆腐だけ食べて他は残っています。
「ほかのものも食べたらあげますよ」
「やぁーだ。ごはんぅ」
今度は怒り声です。
しーちゃんのお得意のポーズが出ました。
フォークをテーブルに置いて腕組みしています。
これがはじまるとがんとして言うことを変えません。
その時テーブルの反対側でえいちゃんといっちーが
それぞれフォークにお魚を刺して
「いっしょにたべようか」を始めました。
この頃二人は急に仲良しになり、
『いっしょにたべようか』が大好きです。
今日はそこにさっきお替りをしたおおちゃんも仲間入りです。
その様子があんまりすてきなので馬場ちゃんが言いました。
「はーい、みなさん写真撮りますよ。こっちむいてぇ」
両手の人差し指と親指で四角を作って
うそんこのカメラです。
みんな、カメラ目線でポーズを作りました。
「ぱちり」四角いフレームが瞬きしました。
「しいちゃんも、しゃしんとってぇ」
  見ると、しいちゃんのフォークにお魚が刺さっています。
さて、この後しいちゃんはお魚食べたかな?
                      ※12回連続、それぞれ独立した短編です。 「もっと・みじっかいばぶさん童話」です。名づけて『短短童話』今回はその6回目どうぞよろしく。            
~お・し・まい~

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