12の短短童話 その11 「ひとりじめ」
ひとりじめ
「ねえ、だっこしてよ」
「もうまんいんでーす」
「ずるいぞ、ひとりじめ」
「だってひとりしかだっこできないんだもの」
「なんだい、すこしくらいいいじゃないか」
ねえねえ、おんぶしてよ」
「もうまんいんでーす」
「ずるいぞ、ひとりじめ」
「だってひとりしかおんぶできないんだもの」
「なんだい、けちんぼ。ぷんぷん」
「のーせーて」
「まんいんでーす。もうのれませーん」
「どうしてものりたい。ぎゅぎゅぎゅ。」
べしゃ。
「あーぁ、あぁ。お馬さんの風船つぶれちゃった」
「ぼくしーらない」
ぴょん。
ぷいぷいぷいぷい・・・ぷい。と行ってしましました。
すると風船はにょきにょきにょきぃい・ぴん。
もとどおり。
「いーれーて」
「まんぱいでーす。はいれませーん」
「どうしてもはいりたい。ぎゅぎゅぎゅ。」
びりびりびり。
「あーぁ、あぁ。テントのおうちやぶけちゃった」
「ぼくしーらない」
ぷい。
ぷすぷすぷすぷす・・・ぷす。と行ってしまいました。
するとテントはしゅぱしゅぱしゅぱ、ぱりん。
もとどおり。
ぷいぷいぷすぷす、ぷいぷいぷすぷす行くと
すてきなものをみつけました。
「あっ、ぶらんこだ。だれものっていなぞぉ」
きょろきょろ
きょろきょろ
「へへっ、だれもいないぞ、みてないぞ。
いまのうち・いまのうちっと。うんとこしょ。」
きこ、
きぃこ、
きぃーこ、
きぃーーこ
「わぁ~~い、ひとりじめ。ひとりじめ。
ぜぇ~~~んぶ、ひとりじめ。
そらも、くもも、おひさまも、
かげぼうしも、そよかぜも、くうきも
ぜぇ~~んぶ、ひとりじめ。」
ぶぅらん
ぶぅうーらん
ぶぅううーらん
ぶぅうううーらん
ぷつん。
ぴゅ~~~ん。
どっしん。
「わーーー。あいたたたったたあ。」
さぁ、どうする?
いたいのもひとりじめっ…かなぁ?
「やだ やだ やだ やだ、やだ やぁーだぁ。
だれかに だれかに いたいのあーげる。
だれかもらってよ。
もうひとりじめしないからさ」
~お・し・まい~
※12回連続、それぞれ独立した短編です。
「もっと・みじっかいばぶさん童話」です。
名づけて『短短童話』今回はその11回目どうぞよろしく。
関連記事