5夜連続 パコージャパトロール隊物語 ① いっせーのせっ (1/5回)
パコージャパトロール隊物語 ① (1/5回)
いっせーのせっ
1 まいごのしらせ
ポーン ポーン ポーン ポーン お知らせします。
こちらは防災ツミキルランド放送です。
迷子のお知らせです。
パコージャの、まいちゃんブロックと ごうちゃんブロックが
おかたづけになってもまだかえってきません。
お心当たりのある方はお近くのパトロール隊に知らせるか
パコージャ本部に知らせてください。
ポンポンポンポーン
お給食前のおかたづけの時間のことです。積み木の箱を挟んで向かい合い、
あらちゃんとそいちゃんの二人は怖い顔をして睨みあっています。
二人ともそれぞれ背中に一個積み木を隠しています。
手に汗を掻くほどぎゅぅっと握っているので積み木はしっとり濡れています。どうやら最後の一個をどっちが入れるかでもめているみたいです。おたがいに
どうしても自分が最後に入れたいと言い張り、頑として譲りません。
〝こちらパコージャ本部 こちらパコージャ本部
全パトロール隊員に告ぐ
緊急指令 緊急指令 ただちに
まいちゃんブロックとごうちゃんブロックの捜索に出動せよ ピッ〟
キュンキュンキュン ウィーンウィーンウィーン
パトロール隊員はさまざまなサイレンを鳴らして出発しました。
『こちらパトロール隊のバルちゃんとガンちゃんです。
パコージャ本部どうぞ、プイプイ』
『こちらパコージャ本部
バルちゃんとガンちゃんどうぞ ピッ』
『バルちゃんとガンちゃんは
いまからホアンニイ山のてっぺんに向かいます。
パコージャ本部どうぞ プイプイ。』
『こちらパコージャ本部、了解しました。
バルちゃん・ガンちゃん、途中の急坂に気をつけて行ってきてください。
どうぞ ピッ』
「ねえガンちゃん、どうしてホアンニイ山って思いついたの?」
「それはね、バルちゃん。
ホアンニイ山はこのニソワイジュ村の中でいちばん高い所だから、
その頂上からみわたせば迷子のまいちゃんブロックとごうちゃんブロックが
どこにいっちゃったかすぐわかるって思ったからさ。
あ、もうすぐホアンニイ山のテノコウダイラに到着するよ」
「テノコウダイラはホアンニイ山の登り口ね」
「さあ、ここからは登り坂が続くから、アクセル・オン」
「アクセル・オン」
バォーン バォーン ブィーン ブィーン
二台のパトロールブロックは元気に坂道を登って行きました。
あっというまに ひじてつカーブを曲がり、
ニノウデ急坂に差し掛かりました。
バォーン バォーン バォーン ブィーン ブィーン ブィーン
「さあ、もうちょっとで見晴らし峠だよ、がんばれバルちゃん」
バォーン バォーン バォーン ブィーン ブィーン ブィーン
ブリブリッ ブリッ ブリブリッ プッスン プスン プスン
「あっ、バルちゃん。僕につかまれ。さあ手を伸ばして」
「ガンちゃん…た・す・け・・・」
バルちゃんは一生懸命手を伸ばしました。
ガンちゃんも思いっきり手を伸ばしました。
「バルちゃん。もうちょっと…。」
「うーん、うーん」
ムンギュ。バルちゃんとガンちゃんの手が繋がりました。
ガンちゃんはもっとアクセルして
バォオーン バォオーン バォバォーン
バルちゃんも負けずに
ブィイーン ブィイーン ブィブィーン
エンジン全開で頑張りましたが、
ズルッ ズルッ ズルズル
「きゃーぁあ 」
「バルちゃん がんばれ。
バァオーン、バァオーン、バァオ・バァオーン」 ズルッ ズルッ
バォーン バォーン バォーン ブィーン ブィーン ブィーン
ズルッ ズルッ ズルズル ズザザザザァア
バォーン バォーン バォーン プスプスプス
ブィーン ブィーン ブィーン プスプスプスプス
「おっこちるぅ」
「たすけてぇー」
その時空の上から、パタパタパタパタパタパタ・・・と
ヘリコプターの音が聞こえてきました。
~つづく~
関連記事