12の短短童話  その3 「おばけやしきごっこ」

どんぽのばぶ

2014年06月14日 00:00

お化け屋敷ごっこ
「おばけごっこしよう。」
「うん、どこでおばけごっこしようか?」
二人は束ねてあるカーテンの中にさっと入り込みました。
「まどのそとがあかるいからここじゃあだめよ」 
それじゃあと、お部屋をつっきって押入れを開け、
下の段にもぐりこみ、襖を『ぴしゃん』
途端に秘密の小部屋は真っ暗け。
パパが思いついて、ここはまいちゃんとしゅうちゃんがいろいろに遊べるように
からっぽの秘密の小部屋』にしてくれてあるのです。
「おばけくるかなぁ?」
まいちゃんが眉毛を八の字にして言いました。
「きっとくるよ。こわいこえで『そこにいるのはダレだ~あ』っていうんだよ。」
「そしたらあたしが『きゃ~あ』っていって・・・」
「ぼくが『バンバンバーン』ってやっつけちゃうんだよ。ねー。」
「ねー。」
「だけど、おばけこないかなぁ?」
「おばけさんこないねぇ」
「おばけどうしてこないのかなぁ?」
二人は襖をちょぴっとだけ開けました。
細いすきまから外の光が「さっ」と入って
「きゃぁー。…あれっ?」
細い外の光と一緒におばけが入ってくるはずでした。
けれども何も入ってきません。
「やっぱり、おばけこないね」
「それじゃあ…、おばけやしきごっこにしよう。」
二人は押し入れの中から這い出てきました。
ふと気が付くとテーブルの上にしまい忘れたクレパスと
お絵かき帳、それから鋏とセロテープ。
 
「そうだ、おばけのえをかこう」「かこうかこう」
クレパスの先から流れ出て来るおばけ、おばけ、おばけ。
ひとつめこぞう。かさおばけ。ろくろくび。
にんじんおばけ。だいこんおばけ。かぼちゃおばけ。
スカートおばけ。じどうしゃおばけ。
らっぱおばけ。ながぐつおばけ。
不思議なお化け、かわいいお化け、怖いお化け。
クレパスはまるで魔法使いの杖みたい。
しゅらしゅらぐんぐん動きます。
そして絵を鋏で切り抜き
お部屋のあちこちにセロテープでペタペタペタ。
そしてわくわくしながらカーテンを閉め、
お部屋全体を薄暗くしました。
「おばけやしきかんせーい。」
「ママはやくかえってこないかなぁ。」
              
~お・し・まい~
※前々回から12回連続「もっとみじっかいばぶさん童話」です。名づけて『短短童話』どうぞよろしく。

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