ねずみくんの竹馬

※どうぶつ村の保育園の年長さんのクラスで、或る時たけうま遊びが人気になりました。 たけうまの練習を誰よりも一番熱心にやっていたのはねずみ君でした。 朝早くから練習、練習、猛練習。 薄暗くなった夕方お母さんが保育園にお迎えに来ても、 『もうちょっとだけ。あと一回だけ』 と言っていつまでもいつまでも練習しているのでした。 ある日とうとうたけうまを上手に乗れるようになったねずみ君、 もう嬉しくてうれしくて保育園のお庭をかぽかぽ歩き廻っていました。 一生懸命なわとびの練習をしているウサギちゃんの後ろからそおっと近づくと 「うさーぎちゃん」 って呼びました。 その声に振り向いたウサギちゃんはびっくりしました。 だって、自分と同じ目の高さのところにねずみ君のニコニコ顔があったからです。 「みてみて、ぼく、もううさぎちゃんとおんなじくらいせがおおきいよ」 「ねずみくん、たけうまのれるようになったのね。よかったね」 「ぼく、もっともっと大きくなりたいんだ」 次の日です。 昨日よりも背の高いたけうまを練習しているねずみ君です。 一生懸命練習したのでどうにか乗れるようになりました。 もう嬉しくてうれしくて かっぽ かっぽ 歩きまわっていました。 夢中でなわとびの練習をしているウサギちゃんの後ろから、そぉおっと近づくと 「うさーぎちゃん」 ってよびました。 自分の後ろの空のほうから誰かの声がしたので、 振り向いて見るとねずみ君のニコニコ顔がぴかりと光ました。 ウサギちゃんは、びっくりして思わずびよよよょ~~んと飛び跳ねました。 「わーい、ぼくってウサギちゃんのジャンプしたときとおんなじくらいせがたかくなったんだよ。」 「すごい すごい、ねずみくん、おめでとう」 「ぼくもっともっと大きくなりたいんだ」 そのまた次の日です。 昨日よりももっと背の高いたけうまを練習しているねずみ君です。 こんなに高いたけうまですが、一生懸命練習したので、 ちょっとやそっとでは落っこちないくらい上手になりました。 もう嬉しくってうれしくってかっぽんかっぽん歩き廻っていました。 うんうん唸りながら昇り棒を練習しているろば君の後ろから 「ろーばくん」 って呼びました。 その声に後ろを振り向いたろば君は、 思わずびっくりして目をクリクリしました。 だってろば君の耳の先よりも高い処に ねずみ君のニコニコ顔があったからです。 「やあ、ねずみくん。たけうまとってもじょうずになったね」 「ぼく、もっともっとおおきくなりたいんだ」 そのまた次の次の日です。 昨日よりももっともっと背の高いたけうまを練習しているねずみ君です。 何度か失敗したけれど、それでもあきらめずに練習したので どうにか乗れるようになりました。 もう、嬉しくって嬉しくって嬉しくって ぐわぁし ぐわぁっし と歩きまわっていました。 鉄棒のところで逆上がりを練習しているキリン君の後ろから 「きりーん・くん」 「き―りん・くん」 と呼びました。 ところがキリン君たら、まわりの音なんかぜんぜん聞こえない位に 逆上がりの練習に夢中です。 ねずみ君はさっきよりも大きな声で 「き~~りん・くん」とよびました。 それでもキリン君には聞こえません。 キリン君は空を見上げて大きく息を吐いて 「はぁ~、だめだぁ」 とぼやきました。 そこで、ねずみ君は大きく大きく息を吸い込むと・・・ 「きーりんくん」 あんまりちからいっぱい呼んだので ねずみ君は目が回って背の高いたけうまのてっぺんから ぴゅーって落っこちてしましました。 そのときです。 キリン君が思いっきり首をのばしました。 「わあーーい、きりんくんのじゃんぼすべりだいだぁ」 ねずみ君はキリン君の長い首にまたがり しゅるしゅるしゅるしゅる、 しゅるしゅるしゅるしゅる、 大きな背中もしゅるしゅるしゅる、 ぴんと張ったしっぽの先までしゅるしゅるしゅるーの、 ぴょーん。 まるでオリンピックの体操選手みたいなカッコイイ着地でした。 「ねずみくんちゃくちだいせいこうおめでとう。」 ぱちぱちぱちぱち ぱちぱちぱちぱち お庭のあちこちで遊んでいたお友達のみんなが拍手してくれました。 「きりんくん、もういちどすべらせてよ。こんどはぼく、 オリンピックのスキーせんしゅのジャンプみたいにとんでみたい」 「うん、いいよ」 「ぼく、もっともっと大きくなりたいんだ」                                ~お・し・ま・い~


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