5夜連続 パコージャパトロール隊物語 ① 『いっせーのせっ』 (3/5回)

いっせーのせっ        3 空から捜索 バルちゃんとガンちゃんは鎖の梯子段を降りて見晴らし峠に戻りました。そしてパトロールブロックの運転席に座ると碧いボタンを押しました。 たちまち白い翼がにょきにょきにょき。 両腕のように広がってグライダーブロックに変身しました。 風に乗って二つのグライダーは 見晴らし峠からひろい空の中に飛び出しました。 『こちらパトロール隊のバルちゃんとガンちゃんです。 パコージャ本部応答願います。プイプイ』 『こちらパコージャ本部、バルちゃんとガンちゃんどうぞ ピッ』 『バルちゃんとガンちゃんはグライダーブロックに乗って、 あらちゃん森とそいちゃん森の上空に行きます。プイプイ』 『こちらパコージャ本部。あらちゃん森とそいちゃん森の上空は さっきから気流がとても乱れています。バルちゃんとガンちゃんは グライダーの操縦に十分気をつけて飛んでください。 危ないと思ったら無理をしないでください。どうぞ ピッ』 『了解しました。プイプイ』 エンジン付きの飛行機のほうがあっという間に森に近づけます。 けれどもエンジンの音をさせて近づいたりしたら ぷりぷり怒っている森は一体どうなるでしょう。 もっとぷりぷりしてしまいます。 バルちゃんとガンちゃんのグライダーブロックは あらちゃん森とそいちゃん森の上をゆったりと飛びました。 始めは大きな丸を空に描くように、 それから、まるの大きさをだんだん狭くしながら 渦巻きのように飛んで静かに森に近づいて行きました。 『こちらはパトロール隊のガンちゃんです。 ごうちゃんブロック聞こえますか、 ごうちゃんブロック 聞こえたら返事してください?どうぞ プイプイ』 ザーザーザー。 ザーザーザー。 『こちらはパトロール隊のバルちゃんです。 まいちゃんブロック聞こえますか、 まいちゃんブロック 聞こえたら返事してください?どうぞ プイプイ』 ガガー ガガー。 ガガー ガガー。 ガンちゃんとバルちゃんは必死で  ごうちゃんブロックとまいちゃんブロックに向かって通信しました。 けれども電波が乱れていてなかなか届きません。 何度も呼びかけているうちガンちゃんのグライダーの操縦席の スピーカーからとっても小さな声が とぎれとぎれに聞こえてきました。 『こちら…ごうちゃん、ごうちゃんブロックです。ザーザーザー。 僕は今そいちゃん森の奥の奥にいますパトロール隊のガンちゃん…どうぞ』 その時バルちゃんのグライダーの操縦席のスピーカーからも小さい声が聞こえてきました。 『…こちらまいちゃん、まいちゃんブロックです。ガガー ガガー 私は今 あらちゃん森の奥の奥にいます。 パトロール隊のバルちゃん、たすけてください』 『こちらパトロール隊のガンちゃんです。 ごうちゃんブロック、ごうちゃんブロック、 そいちゃん森から自分で出て来れますか? どうぞ プイプイ』 『だめです。そいちゃんが僕をぎゅっと握っています。 パトロール隊のガンちゃん どうぞ』 『こちらガンちゃんです。解りました。 今いい方法を考えます。 ごうちゃんブロック、ごうちゃんブロック必ず助け出しますから、 もうちょっとだけ待っていてください。』 『こちらパトロール隊のバルちゃんです。 まいちゃんブロック、まいちゃんブロック、 あらちゃん森から自分で出て来られますか?  どうぞ プイプイ』 『とてもダメです。 あらちゃんが私に爪を立てて摑んでいて離しません。』 『こちらパトロール隊のバルちゃんです。今いい方法を考えます。 まいちゃんブロック、まいちゃんブロック、 必ず助け出しますからもうちょっとだけ待っていてください。』                               ~つづく~


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